2012年4月5日木曜日

がんと自然療法・3 がんは予防できますか?: 相模原の整体の中村治療院。腰痛・肩こり・坐骨神経痛・膝痛、おまかせ!院長ブログ


がんは体質ですか?

  世の中には、がんに成らないためにサプリメント等を摂取して一生懸命予防に努めていたのに、がんで亡くなってしまう人もいれば、発がん率を一番高めるタバコを毎日吸っているのにがんに成らないで、長命の人もいます。

   だからと言って、疫学的に何千何万の単位で調べれば、がん予防に努めた人達と、タバコを毎日吸った人達では、明らかに発がん率は大きな差がありますから、がん予防努めることは大いに勧められますが、

  個々人で見れば、逆の結果が起こる場合もあると言うことです。このような時、一般的に体質の差ではないか、等とよく言われますが、この差が何所から来ているのか説明しょうとすると、そう簡単でもありません。現在世界中の生命科学者が、細胞の中で起きているメカニズムを、なんとか解明しようと日夜研究をしています。

   これまでの研究で分かった事だけでも、学びきれないほどの量が有りますが、生命体の内部で行われていることは、あまりに複雑で、一つ解明されると、さらにそれに関る疑問が、いくつも出来てくる、というのが実態です。

   生命体である細胞は、無生物である機械とは全く違うシステムで、出来ています。無生物である機械は、部品に分解して調べれば、単純な物質で出来ていますから、それぞれの部品がどのような性質を持ち、組み上げれば機械の中でどのような役割を果たすかほとんど明確に知る事ができます。

   それに対し、生命体である細胞は、部品に分解して、ひとつの部品を取り出して調べようとすると生体にあるときと違った働きをするため、生命体は、今まで科学がやってきた部品を取り出して分析すると言う単純な手法だけでは、理解できない存在であることが分かってきました。

そのような生命体を理解するために、複雑系と言う新しい科学の考え方が生まれてきました。

複雑系ってなんですか?

   簡単に言いますと、生命体のように、全体の中の各要素が絶えず変化して、各要素間の相互影響が強く、それらの、変化によりまた、全体が変化してゆき、その変化が各要素にまた変化を与えていく存在。

   生命システムを理解するためには、部品として分解するだけではだめで、複雑系である生命体全体としての振る舞いを、どう捉えるかが大切と考えられるように、なってきました。このような意味で生命体である細胞は複雑系ですし、細胞が作る人体も複雑系、また、人間が作る社会も複雑系といえます。人間が作る社会において、社会の構成員である、1人の人間を取り出してきて、いくらこの人を調べても、この人がこれからこの社会で、どのような活躍をして行くのか、確定することはできません。

   この人が怠け者でダメ人間だったとしても、社会の中ではたまたま出会った人がすばらしい人で、ダメ人間が自己変革して、社会を大きく変える事もあります。逆に、調べた人がすばらしい人だったとしても、社会の中でたまたま出会った人が悪人であったために、影響を受け犯罪者になってしまう場合もあります。

   細胞の研究も同じことが言えます、複雑系である細胞から要素を取り出して働きを調べようとしても、試験管の中では、限定的な条件での働きしか、見ることが出来ません。

 ある一つの酵素タンパク質の働きを調べる場合でも、試験管の中では、プラスの働きが、細胞の内部にあるときは、他の様ざまな酵素タンパクの影響でマイナスに働くこともあります。

   そのような意味で、複雑系である生命体を研究する時は、生命体から部品を取り出して試験管で調べた結果は、その物が持つ働きの一部が分かっただけで、全てではないと言うことを理解したうえで、研究結果を解釈して、人体なら人体に当てはめて、考えていかなくてはならないということです。   がん予防を考える場合、この考え方が大変に大切だと私は、思っています。がんと自然療法・2にも書きましたが発がんプロセスの研究の歴史の中で、発見されて来た事は、生体全体に対する外部からの影響や、細胞内の様ざまな要素に対する影響が絶えず変化している中では、発がんプロセスも、様ざまに変化して居る事が、分かってきましたので、たまたま其の時のターゲットを絞った研究で見つかった、発がんプロセスが全てでは無い、と言う認識で、研究結果を、見ていか無ければならないし、予防法も総体的な目で考えて行かなくてはならないと言うことです。

体はがんに成るのを防いでいる。

   遺伝子の異常から来る発がんプロセスでは、遺伝子のDNA塩基配列に、様ざまな発がん物質が結合した場合や、紫外線やX線、活性酸素の攻撃により、塩基配列が乱され遺伝子の異常を起こして、たまたまその遺伝子が細胞分裂増殖のアクセル遺伝子であればアクセルが踏みっぱなしの状態になり、ブレーキ遺伝子であれば、分裂増殖のブレーキが利かない状態になり、がん化がはじまりますが、細胞は、これを黙って見ている訳ではありません。

   細胞には遺伝子を修復する働きがあります。遺伝子DNAを線路に喩えると、線路を常時点検している人が何人もいて、どこかに枕木が割れていないか、レールが歪んでいないかを調べています。

   いくつかの線路を保守する職人グループが、それぞれの得意をいかして、枕木が壊れていれば、枕木を取り外し、新しい枕木に取り替えます。レールが歪んでいれば、歪んだ区間のレールを切り外し、新しいレールを敷いていきます。それにより、線路はいつも良い状態を保つことができます。

   遺伝子DNAの場合は、通常の細胞分裂の場合、DNAポリメラーゼという酵素が、元のDNA(30億塩基対)を、コピーし新しいDNAを合成してゆきます、10万塩基対に一回の割合で間違いが起こりますが、後から来る別のDNAポリメラーゼが、点検をしながら進んで来て、間違った塩基対を取り除き、正しい塩基対に直して行きます。

    この修正機構により,DNAのコピーの間違いは100億塩基対に一個程度になり、ほぼ間違いなく、新しい細胞に正しいDNAが受け渡されることになり、大人では、60兆の細胞すべてが同じ遺伝子DNAを持つことになります。もしも、この修正機構がうまく働けなかった場合は、遺伝子に突然変異が起こり、場合によっては細胞のがん化が起きてしまいます。


ジョギングが重要である理由、

   細胞が分裂していない場合でも、遺伝子DNAは、化学物質や放射線や活性酸素などの攻撃を絶えず受けています。それに対しても、細胞は準備が出来ていて、DNAにダメージが生じると、遺伝子修復の指揮官であるP53タンパク質がどんどん作られ、多くのP53タンパク質が,DNAの線路を点検して回り、壊れた場所があれば、DNA修復酵素に、修復作業の命令を出します。

   作業は異状化した塩基や、間違った塩基対を、エクソヌクレアーゼやエンドヌクレアーゼで取り除き、それぞれ役わりの違う14種類もあるDNAポリメラーゼで正しい塩基対を作り、それを取り除かれた部分にDNAリガーゼという糊づけ酵素でくっつけて、修復を終わります。(これ以外にも数種類の修復プロセスがあります。)

 このようにして、細胞の遺伝子DNAは絶えず壊されてもいますが、絶えずDNA修復酵素により修復されて、ほとんどの場合は、がん化することはありません。しかし、あまりにも多くのダメージを受けすぎた場合や、栄養のアンバランスや何らかの原因によりDNA修復酵素が充分働けなかった時は、P53タンパク質が修理不可能と判断して細胞をアポトーシスという細胞の自殺に導き、がん化を二重三重に防いでいます。

   このような遺伝子修復の働きも、簡単に書きましたが、実際には一つ一つ修復酵素が働くためには、多くの酵素が共同して働き、さらにその酵素に影響を与える周辺の酵素まで考えると、数え切れない程の要素が、影響していることが分かっています。

   そのために、修復遺伝子の働きも様ざまな影響を受けていますから、細胞の状態によっては、100パーセント働ける分けではなく、多少はがん化する細胞が出てしまいます、普段不健康な生活をしている人は、相当修復力が低下して、さらに、がん化細胞が発生していることも有ると考えられます。

体はがん細胞を攻撃している

 これまでの研究で、一般的に1人の人に一日、約5000個のがん細胞が発生しているといわれています、しかし体内には、常時パトロールして、異常化した細胞を取り除く、免疫力がありまして、免疫細胞が日々出来たばかりのがん細胞をつぎつぎと破壊してくれています。

   これらの働きがしっかりしていますと、がんには成りません、エイズ(後天性免疫不全症)や臓器移植、自己免疫疾患などで免疫抑制剤等を使っている場合は、人によって数十倍から数百倍、がんに成りやすいことが分かっています。

   これだけのがん抑制作用が生体にはありながら、実際にはがんで死亡する人が後を立ちません、それはがんに免疫が働いているとは言っても、免疫は、自己の正常細胞との違いが有ればあるほど強く働く性質がありますので、ウイルスや細菌と違ってがん細胞は、もともとは正常な体の細胞だったものですから、正常細胞との違いがそれ程は無いために、免疫が十分な力を持っていないと、しっかりとがんを感知して戦えない、ということがあります。

   体の免疫は、白血球がつかさどっています。白血球には、自然免疫系の、がんや病原菌を殺すNK(ナチュラルキラー)細胞、体に侵入してくる菌を最前線で防御する樹状細胞、大食細胞のマクロファージ、食細胞の好中球、アレルギーに関係する好酸球、好塩基球があります。

   獲得免疫系には、免疫抗体を作り出すBリンパ球、免疫制御や異常細胞を破壊するTリンパ球(ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、キラーT細胞,NKT細胞)等があります。がん細胞を主に殺しているのはNK細胞と、キラーT細胞です。その働きを高めてくれるのが、樹状細胞、ヘルパーT細胞,NKT細胞等です。

   免疫細胞が、がん細胞か、正常細胞か、何を基に見分けるかと言いますと、細胞表面に無数に突き出たタンパク質や、脂質、糖鎖等です。その中でも特に大事なものが、主要組織適合抗原HLAタンパク質です。このタンパク質は、骨髄移植等の時良く話題に出てくるもので、同じ型のHLAの人は十万人に一人しか居ないとか,HLAの型が合わなければ移植出来ない等の話の時、出てくるものです。

    HLAには、正常な全ての細胞にある、クラス1HLA(A・B・C)と抗原提示をする免疫細胞だけが持つ、クラス2HLA(DP・DQ・DR)があります。がんに、主に関っているのがクラス1HLAのほうです。クラス1HLAは、細胞内で分解されたタンパク質の欠けらをHLAタンパク質の間にはさんで、細胞表面に提示する役割をしています。

   免疫系のT細胞はHLAに提示されたものしか感知できません、細胞ががん化した場合キラーT細胞が最初に破壊を始めますが、正常な細胞の場合,HLAは内部で作られる正常なタンパク質の欠けらを提示しています。

   がん細胞の場合は、異常なタンパク質をどんどん作り、その欠けらを、HLAを介して細胞表面に提示します、キラーT細胞はHLAを介して異常を認識し、がん細胞を破壊します。がん細胞によっては、キラーT細胞」の攻撃を逃れるために、細胞表面にHLAを出さなくしてしまう者も現れてきます。

   その場合は、NK細胞の出番です、NK細胞はHLAが表出され無くなったがん細胞(病原菌もHLAが無い)見つけて専門に破壊しています。このような働きでがん細胞が出来ないように、また、がん細胞が出来ても免疫に、すぐに発見されて、破壊されるような仕組みが充分出来ています。

がんの免疫療法とは?

    ここ10年ぐらいの生命科学の進歩から、今までのような、抗がん剤や手術、放射線のような、体にダメージを与えるような治療ばかりではなく、体に本来備わったがんに対する免疫を高めて治そうと言う研究が進んできています。

   もしも体の免疫だけでがんが治せるならば、体を一切痛める事無く苦しくも無い治療が可能になります。患者にとってこんなに、良いことはありません、しかし、現実には、がんを免疫だけで治すのは簡単ではありません。

   がんになった、ということは、既に体の働きが弱り、細胞内の遺伝子修復などの働きが充分ではなかったということですし、出来たがん細胞も免疫が弱くて完全に破壊する事が出来なかったということです。さらにがんは大きくなると、免疫を抑制する様ざまな働きが出てくるために、免疫療法として免疫を強めることも様ざま行われてきましたが、効果はどの治療法も個人差が大きくそれ程は成功していないのが実態です。

   これまで行われた、免疫療法では、丸山ワクチン・BCGなどの結核菌ワクチン、ピシバニール(溶連菌の菌体成分)等を注射などで投与して、免疫を強めようというやりかたです。


理想的なウエストcirculferenceは何ですか

   また最近では、さらに効率よく免疫を活性化させる、がん特異抗原によるワクチン療法や樹状細胞活性化療法、NKT細胞療法等が行われています。

   実は、免疫のことが詳しく分かる以前から、乳がんや、皮膚がんなどの患者で何らかの熱病に罹った後に、自然にがんが縮小したり、治ったりする例、結核患者にはがんに成る人が少ないことがあることが医者の間で知られていましたが、当時の医学ではメカニズムを研究することは、出来ませんでした。

   免疫を強めるこの方法は、最近はメカニズムが分かって来ています。結核菌ワクチンや菌体成分が樹状細胞に取り込まれ、免疫の最前線である、樹状細胞やマクロファージは病原体成分を食べると、活性化され、様ざまな免疫活性化物質(サイトカイン)を放出し食細胞やリンパ球を、集合させたり活性化させたりして、速やかに病原体を処理しようとします。

   そのときに免疫細胞が放出するサイトカインの中にTNFα(腫瘍壊死因子)や、がんを破壊するNK細胞や、キラーT細胞を活性化する、インターフェロンγがあります。

    TNFαやインターフェロンγは、がんを破壊したり、他の細胞が、がんを破壊する働きを高めますので、実は、感染症に罹るたびに、人はがんに対する免疫も自然に高めていたことになります。

 このようにして免疫はがんを攻撃して体からがんを排除処理していることが分かっています。しかし丸山ワクチンもBCGも中には効く人もいましたが、大多数の人には、それ程効果はありませんでした。

   次に出てきた、がんワクチン療法やNKT細胞療法は、以前の治療法に比べ、かなり直接的にがんに対する免疫だけを、選択的に強める治療法ですので、ある程度の効果が出ており、臨床の現場で使われ始めていますが、まだまだ、手術、放射線、抗がん剤の効果を超えるまでには至っていないのが現実です。

   これらの免疫活性化療法でも、個人差が大きく、ほとんど効果の出ない人も多くいます。効果の出る人、出ない人の差は、基本的な細胞の働きが、どの程度保たれているかによります。

   同じがんに成った人でも、がんに対する抵抗力は、体の持つ総合力ですから、より健康な生活をして、細胞の基本能力が強いほど免疫療法に対する反応も良く、効果を挙げることが出来ます。   最近の免疫療法で、良い成績を上げている、NKT細胞療法の場合、NKT細胞を、刺激してインターフェロンγを出させて、それにより、がんをやっつけるNK細胞やキラーT細胞を活性化するのですが、もともとの細胞が弱っている人では、刺激してもインターフェロンγがそれ程出ないために、効果が弱く生存率も低くなりますが、基本的な細胞機能が強い人は、刺激に対するインターフェロンγが充分出ますので、生存率が倍ぐらい高く成っています。

   免疫療法とは言っても最後に頼れるのは自分自身の基本的な健康状態であり、それから来る細胞の総合力だと言う事です。がんによっては、現代医療に限界を感じて、食事や運動など、基本的な健康法をしっかり行って、自分自身の免疫力だけで、末期がんから生還した人達も、今まで何人もいることも事実であります。

がんの予防法・治療法で体の働きでできること!

   これまで紹介したように、体には、様ざまな発がん物質等から体を守ったり、がん化した細胞を破壊したりと、体ががんに負けないような仕組みが充分備わっています。普通に健康な人はこの働きが充分に発揮されている状態だということです。大切なことは、せっかく体に備わったこの働きを低下させないような生活こそが何より大事なことです。

 テレビや雑誌で、何々を食べればがんに効くとか、サプリメントなどの話が、良く出てきますが、あまり感心されたものではありません。がんに対抗する体の働きは、細胞内の様ざまな物質が関与した、総合的なものですから、一つのサプリメントや、一つの食品で、どうなるものでも無いのです。

   これらサプリメントの根拠となっている、マウス等での実験は、生活環境や与える栄養素なども、かなり限定的な条件で、一つの栄養を特定のマウスだけに与えた場合の、効果を研究しているもので、人のように様ざまな生活環境、変化に富んだ様ざまな食品を毎日摂取している場合は、マウスの実験結果はほとんど当てにならない参考程度にしたほうが、賢明だと思います。

   以前、ラットを使った発がん実験で、ラットに、膀胱がんを引き起こすとされ、人の発がん物質とされた、サッカリンは20年にわたるサルでの実験では、がんが全く出来ず、近年、人での発がん物質から外されました。これは、動物実験の結果を、人に応用する場合は、どのように解釈し応用するか慎重でなくては成らないと言う、良い教訓となっています。

   食事に関しても、どれががんに良いというよりも、体に良いバランスの良い物が大事です、がん予防も、治療も、健康な体をどのように作るかがカギである、と私は考えています。

私の考えるがん予防法

1. タバコを吸わない

 タバコは、疫学研究からも30~35パーセントも、ほぼ全てのがんの発生率を上げます、肺がんに関しては、90パーセント以上発生率を上げます。タバコは発がん物質の種類が最も多く、特に毎日喫煙している人は、発がん実験を自分の体で試しているようなもので、タバコを吸って、がん予防を考えても、何の意味もありません。がん予防を考えるなら、まず、第一に出来ることは、何よりも禁煙です。

2.食事は、量を少なくバランス良く

  食事に関しては、マスコミから流れてくる、様ざまな情報に左右されないことが、まず、第一です。これらの情報は、限定的な動物実験の結果を、慎重な解釈もせずに、食事指導をしている先生方によるものですが、細胞内で起きている化学反応は、あまりに多義にわたり複雑なために、健康な細胞の代謝に、必要とする栄養素もあらゆる種類に及び、一つにこだわらず、全体のバランスこそが一番大切です。

 逆に、ある食品が、がんに良いと信じて、多く取りすぎると、食事全体のバランスが偏り、かえってがんに成りやすくなる、ということも言われています。ちなみに、世界保健機構WHOと食料農業機関FAOが、がんを抑制する効果が確実にあると認めた食品は世界に一つもありません。

   これまでの、様ざまな食事と発がんの研究で、確実な結果が出ていることが一つあります。それは、食事の量を減らすということです。


あなたがスピンを得れば何をすべきか

 この最初の研究は1940年アメリカで行われました、マウスを二群に分けて、ビタミン、ミネラルは同量で、一方は量の少ない制限食、もう一方には自由にエサを食べられるようにして育てたところ、制限食マウスのほうが、体は小さいが、毛並みも良く若若しく、動きも活発で、すべてのがんの発生が少なかった、逆に、沢山のエサを食べた方は、体は大きいが、毛並みも悪く、老化が進んでいて、がんの発生率も高かったということでした。

   もう一つの研究は、乳がんの発生率の高いマウスの系統で、実験したところ、自由食の方は、発がん率64パーセントに対して、制限食の方はわずか8パーセントに過ぎなかった、というのもあります。その後、世界中で、犬、サル、他様ざまな動物でこの実験が追試されましたが、全ての実験で、カロリーの少ない制限食のほうが、発がん率が低いことが、証明されています。

   何を食べたら良いか、という事については、常識の範囲内で良いとは思いますが、バランスを良くするためには、まずは、動物性食品と植物性食品のバランス、代謝の調整に重要な、微量な栄養素やミネラルを考えるならば、加工食品は出来るだけ避ける、自然のものを全体食する、米ならば白米より玄米、魚ならば小魚、野菜ならば、根野菜、茎や葉野菜、実野菜、砂糖ならば、白砂糖よりは黒砂糖、塩ならば精製塩ではなく自然塩、これらを出来るだけ種類多く、薄味で摂るように心がければ良いと思います。

   カロリーが少ないほうが、がんの発生率が低くなる、と言うことを、医学的にどう解釈したら良いか難しいことですが、私なりに解釈しますと、生命進化の歴史の中で、ほとんどの生物は、食物争奪戦の中で、ようやっと食物を手に入れて生きてきたのが普通で、いつも飢餓状態だったために、細胞レベルでも、細胞内に脂肪や糖質が過剰な状態には、適応していなかったと言うことがあります。

   そのため、細胞内に、脂肪や糖質が過剰になると、細胞内の様ざまな化学反応のための、酵素タンパク質の移動や集合などが、阻害される可能性があります。

 もう一つは、過剰な糖質は、酵素触媒を介さない結合反応である、イラード反応を、様ざまな重要な酵素タンパク質との間に起こし、酵素タンパク質の変性を引き起こし、代謝異常を起こす可能性があります。

   脂肪が過剰になると、脂肪は酸化しやすいために、細胞内に過酸化脂質を作り出し、過酸化脂質は、代謝の過程で、強力な発がん物質となります。さらに最近の研究では、細胞内の活性化や代謝の要となっている、ミトコンドリアと言う物の数が減ってくることも分かってきています。

   ミトコンドリアは、細胞内の様ざまな栄養の代謝の、中心的化学反応をになっていますし、細胞内呼吸をつかさどり、細胞内の全ての反応で必要なATPというエネルギー物質を大量に作り出しています。また、細胞内に拡散で入り込んだ酸素をどんどん利用してATPを作りますので、酸素の消費をしていますし、様ざまな過程を経て結果として、強力な発がん物質である、活性酸素が減るような働きをしています。端的に言って、細胞にとってミトコンドリアは、増えれば増えるだけ細胞内の良い作用が活性化されると考えても良いと言えます。

 逆にミトコンドリアが減れば、細胞の生命活動は、不活発になり、活性酸素も増えてがんが発生しやすくなります。(ミトコンドリアは一個の細胞内に数百~数千個暮らしている生命体です。)

3.適度な運動を実行する

   三番目に運動を持ってきたのは、運動により、様ざまながんの発生率が低下するという、研究結果は多いですし、信頼される疫学研究でも、生活習慣の中で運動不足が、5%という大きな発がんの影響をしていることが指摘されています。また、運動は意識さえすれば誰でも今すぐに出来る、しかも、効果の大きい、がん予防策だと言う事です。

 それでは、運動がなぜ、がん予防に良いかというと、その意味を説明された本がありませんので、私なりの解釈で説明したいと思います。

   まず、第一に、運動は、体にとってストレスを与える事だということです。ストレスと聞くと体に悪いように感じる人も多いと思いますが、適度なストレスは、体の栄養と同じぐらい大切です。

 体は、ストレスを与えることにより、それに対抗して、機能を維持したり、機能を向上させたりしています。逆にストレスが無ければ、細胞の機能は使われなくなり、機能低下を起こし、さらに機能が無くなってしまう事もあります。

 運動というストレスが細胞にどのような変化を、起こすかと言いますと、運動をすると、細胞内のミトコンドリアの数が増えます、カロリー過多はミトコンドリアの数を減らします。実はミトコンドリアを増やすことが出来る唯一の手段が運動です。ミトコンドリアが増えますと、強力な発がん物質の活性酸素の発生が低下します。また、ミトコンドリアが増えますと、細胞内の脂質や糖分を使って、ATPという細胞内の全ての反応に必要なエネルギー物質を、どんどん作れるようになります、それによって細胞のダメージを修復したり、機能を向上させたりの良い働きが活性化されて、がん抑制の様ざまなプロセスも活性化されます。

 また、運動は適度なストレスとなりますので、細胞内にHSPタンパク質(ヒートショックプロテイン)を増やします。HSPタンパク質は、細胞に様ざまなストレスがかっかたりした時に、細胞内の数万種類もあるタンパク質が、立体構造が壊されて、変性を起こして機能しなくなったり、機能異常起こしたりしますが、そのような、細胞の危機の時に、様ざまな酵素タンパク質を外側からガードしたり、立体構造が壊れたタンパク質を、正常に戻したりしています。

 細胞内タンパク質の異常も、発がんの大きな原因の一つですからHSPタンパク質を増やして置く事はがん予防のために大きな力になります。HSPタンパク質は、運動以外に、お風呂で体温が38度に成るぐらい入り、汗が十分出るぐらいになりますと、十分増やすことができます。さらに、運動は体全ての機能の活性化や向上に大きな影響を及ぼしています。糖尿病の予防と治療、高血圧、動脈硬化、脳梗塞、心臓病などの予防と治療、内臓、ホルモン系、自律神経系、精神活動、これら全てを運動は活性化させることが、これまでの研究でどんどん明らかにされてきています。


 脳の働きからくる、心と精神の働きも、最近は研究する様ざまな技術も出来てきて、研究者によると、学習能力、認知症、うつ病、統合失調症他にも運動は効果が有り、脳を鍛えるには運動しかないと言っている、脳科学者もいるほどです。生物の進化学的にも、植物には、脳神経系はありません、多細胞である動物は動くことにより、食物を手に入れたり、敵から逃げたりして生命を保ってきました、この働きを効率よく行うために、神経系を長い年月をかけて、発達させてきました。

 つまり、動物の体のほとんどの機能は、動くことと密接に関連しています。強い心のストレスは、一時的に免疫力を低下させて、がんの発生を許すことがありますが、運動は心理的ストレスに対しても、クスリよりも効果的であることも、様ざまな研究で証明されています。がんの予防と免疫力による治療も、体と細胞の総合力であることを考えれば、体の機能のほとんどを、活性化する日々の運動は、大きながん予防の力となることは間違いないと思われます。

4.発がん物質を避ける

 発がん物質に関しては、様ざまな食品に農薬や食品添加物として、含まれていますが、日本の場合かなり厳しい研究検査の上で使われていますからそれ程気にして避ける必要は無いと考えられます。もちろん、農薬や添加物が含まれていないに越したことはありませんが、もし、あなた収入に余裕が十分あり、食費をいくらでも使えるならば、高くても全て無農薬の有機野菜や無添加食品を召し上がればよいでしょう。

 しかし疫学研究で、添加物等の影響は僅か1%ていどにしか見られていませんし、自然の食物に分かっているだけで2000もの、発がん物質が含まれている(MITの生物学の本に書いてあります)そうです。

 そのような意味では、わざわざ高い食品をとるよりも、普通の食品でも良いですから種類多く摂ったほうが、健康には大切です。一生懸命に、農薬や添加物を避けて値段の高い食品を摂っても、何十倍も発がんに影響する、カロリー過多や運動不足が有っては何の意味もありません。自然発がんのほとんどは細胞内の機能異常と活性酸素によると考えられるからです。かといってわざわざ発がん物質の多いものを好んで摂る必要は無いでしょう。出来る範囲内で、加工食品よりは、ご自分で栄養バランスよく調理して食べる事をお勧めします。

5.紫外線・X線・放射線の影響は

 体は様ざまな放射線の害を受けても、低線量ならば基本的に大丈夫な様に作られています。紫外線の場合も、普段美白を意識しすぎて、紫外線を避けてばかりいますと、紫外線の防御をするメラニン色素もほとんど作られないために、たまたま何かの事情で長時間紫外線に晒された場合には、ひどくDNAや細胞内のタンパク質にダメージを受けます。

 ある程度普段から、紫外線を浴びている人は、メラニン色素が程よく増えて、紫外線を防御してくれますし、細胞内でもDNA修復酵素の活性が高まったり、酵素タンパク質の変性を防いだり治したりする、ヒートショックプロテイン(HSPタンパク質)が増えているために、長時間紫外線に晒される様なことが起きても、細胞のダメージは、ほとんど防ぐことが出来ます。

X線や放射線、ほとんど同じことが言えます。これらは紫外線と違ってメラニン色素で防ぐことは出来ませんし、体の奥深くまで透過していくこと意外は細胞に与えるダメージはほとんど変わりません。これら放射線は、細胞のDNAやタンパク質を直接破壊することが出来ますが、実際の害の多くは、水の分子が放射線によって分解され、長強力な活性酸素のひとつである水酸基ラジカル(OH・)が沢山発生して、これがDNAやタンパク質と強力に反応して、ダメージを与えます。

 細胞は、ただ活性酸素にやられるだけではなく、様ざまな活性酸素に対処できる働きも備えています。スーパーオキシドジスムターゼSOD,カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等の酵素タンパクや栄養から取り込むビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類、セレニウム、グルタチオン、代謝の過程で出来る尿素等で、放射線によって出来る活性酸素の害を出来るだけ、無くしていますがそれでもダメージを受けた場合は,DNA修復酵素やHSPタンパク質でダメージを修復して細胞のがん化等を防いでいます。

 普段から栄養に気を配り、野菜などを中心にバランスの良い食事をしている場合は、適度に少量の放射線を浴びることは、放射線に対する細胞の防御力を高めますから、何かの事情で大量に浴びるような事があっても助かる可能性が大きくなります。この様な事から、以前は、放射線はあたればあたるだけ悪いものと考えられて来ましたが、最近は、多少の放射線は、体の防御能力の活性化に、役立つと考えられるようになりました。

 ラドン温泉などは、そのような原理に基づいたものと考えられます。そのような意味でX線なども、レントゲンで何度か写真をとるぐらいは、心配は要らないと思います。しかし、胃の透視やCTスキャンなどは、機械が良く成って来たとは言え、単純撮影に比べて、約5倍程の被爆量がありますから、年に何度も検査を受けるのは考え物です。

おわりに

 人体には、がんに成らないための、様ざまなシステムが備わっています。
このシステムは体の使いようで、どのようにも変わってしまいます。何十年もかけて、このすばらしいシステムを、壊してしまってがんに成ってからでは、そう簡単には、回復してくれません。

 このシステムは、精密でいながら様ざまな変化に柔軟に適応できるシステムです。この働きは、多少の無理な生活が続いても、簡単に壊れるシステムではありませんので、数日の無理は神経質になる必要はありません。

 しかし、無理な生活が何年何十年と続いた場合はやがて壊れてしまい、がんの発生を許してしまいます。がんは、大きくなると、自らが生き延びるために、免疫を抑制する様ざまな物質をだしてきます。

 それに打ち勝つ、体のシステムを取り戻すことは、簡単ではありませんが、このシステムを取り戻し、がんを克服した人達も、何人も居ることも事実です。一般的に言って、体質を改善し、このシステムを取り戻すには、一年から二年に渡る、総合的な養生法が必要だと考えられます。

 何よりも大切なことは、正常であれば、誰にでも働いている、このすばらしいシステムを、壊さないようにするには、日々のちょっとした努力で可能ですが、がんが成長してからでは大変な努力が必要となります。

 がんは成ってから治すのではなく、予防が第一で日々過ごして頂きたいと願っています。



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